研究課題
1.リーマン面の共形構造全体で成るタイヒミュラー空間の幾何学構造の解明を昨年度に引き続き試みた。タイヒミュラー空間上のヴェイユ・ピーターソン計量に関して計量的完備化されたタイヒミュラー空間を複数張り合わせて得られるCoxeter複体の構成法を昨年度論文として発表したが、普遍的タイヒミュラー空間のカルタン・アダマール距離空間としての構造を探求するにあたり、Coxeter複体の普遍的タイヒミュラー空間へのすべての埋め込みの空間を考察し、それがJ.TitsのBuildingの理論と整合していることを新たに理解した。2.米ミネソタ大学のR.Gulliver氏との共同研究として、ユークリッド空間内のグラフの曲率に関する研究を継続した。今年度は、R.ThomやVasilievの特異点理論の観点から新しく定義された全曲率の位相幾何学的な視点からの考察を試みた。3.アインシュタイン方程式の漸近的普遍量に関する研究を二つの方向から進めた。一つ目は、アインシュタイン方程式を3次元多様体の時間発展の方程式とみたとき、その3次元多様体のリーマン計量の変形テンソルをH.Brayによって提唱された共形変換で定める。この変形の時間方向の積分によって形成される4次元時空の幾何学的性質を、京都大学の白水徹也氏と共に考察した。また米アラバマ州立大学のG.Weinstein氏とペンローズ不等式の正質量定理を使った証明法に関して、昨年度からの研究を継続した。
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http://www.math.tohoku.ac.jp/meetings/springschool/LN-2009/index.html