研究概要 |
Feigin,橋爪,星野,柳田と私の共同研究で2009年に見いだされた代数構造の研究を継続した。それは、レベル1の表現では、Macdonald多項式全体の成す空間の上に作用するHopf代数である(Ding-Iohara代数)。これまでに得られた結果は、次の通り。 (A)フォック表現のm階テンソル表現が、変形W代数の表現と、それと可換なHeisenberg代数のフォック表現の積に分解する。以前から知られている変形W代数の表現とMacdonald多項式の関係に加えて、このDing-Iohara代数の表現論を通じての対応は、さらにいくつかの新しい対応関係を導き出した。その一つが、Ding-Iohara代数の生成元の積のhighest-to-highest行列要素がFeigin-Odesskii代数とMacdonald多項式の積の和として自然に展開されることである。ここでは、Feigin-Odesskii代数の構造定理を示すために用いられるfiltrationにより、展開係数が対応するMacdonald多項式となることが示された。 (B)C型のMacdonald多項式の明示的公式を作るために、C型の変形W代数の表現を調べて、幾つかの予想を立てた。それを超幾何級数の変換公式によって証明した。 (C)Ding-Iohara代数の古典極限は、ある古典可積分系を定める。この可積分方程式は、離散Laplacianを持つ周期的なintermediate long wave方程式となる(土谷,白石)。土谷と私はこの系が2D戸田方程式にある簡約条件を与えたものになることを示し、nソリトン階を構成した。そして、nソリトン階に対して運動の積分の値を計算し、それがMacdonald作用素の固有値の構造と非常に似ていることを示した。
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