研究概要 |
今年度は自由確率論の基礎となるフォンノイマン環の自由積を研究した.その成果を一言で言えばフォンノイマン環の一般論の立場から解明すべき基本的な性質を条件を付けることなく完全に明らかにしたことにある.この方向では1990年代からいろいろ研究されており,私自身の研究結果もあったが,何らかの条件を仮定してのものであった.今回の研究は先行結果を全て特別な場合として含む最終結果である 具体的な成果は以下の通り:(1)フォンノイマン環の自由積がいつ因子環になるか決定した.因子環にならない場合には中心の構造を完全に決定した.(2)Murray-von Neumann-Connesの意味の「型」を完全に決定した.(3)フォンノイマン環の自由積が完全性をいつでも満たすことを証明した.(4)III_1型になる場合にさらに明らかにすべき不変量を完全に決定した これらの成果を2つの論文にまとめ,プレプリントアーカイブを通して専門家に周知した.また,ごく最近,専門雑誌に投稿した 他にも自由エントロピーに関する研究,非可換ハーディー空間に関する研究も行ったが,上記の研究に多くの時間を割いた為,発表するほどの成果出ていない
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