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2010 年度 実績報告書

力学系の軌道の到達時間分布によるカオス現象の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20540214
研究機関首都大学東京

研究代表者

平田 雅樹  首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 助教 (70254141)

キーワード力学系 / カオス
研究概要

数理物理などで扱われるカオス的現象には従来の数学的意味ではカオス的と定式化できないものも多く、そのような力学系の軌道の性質を到達時間分布の統計的な性質で記述することにより、カオス現象の新たな特徴付けを行い応用面でも意義のある指標を作ることを目的として、研究に取り組んできた。本研究では主に無限不変測度を持つ非一様双曲型力学系のモデルについて、力学系の他の諸性質(特に1次元モデルの不動点での性質)との関連について調べた。そのために昨年度までに引き続き、連携研究者と協力して情報収集や議論を行い、極限分布の形とintermittencyとの関係の解析を行った。その結果、区分的に線形な場合のみならず、なめらかな非一様双曲型1次元力学系においても、極限分布として指数分布と安定分布の結合形が現れること、および、結合係数が不動点での接触オーダーによって決まることがわかった。これは間欠型カオスの「強さの程度」と到達時間分布という実験的に検証可能なものとを結び付けるもので、応用的にも大いに意義ある結果と思われる。また、昨年度から引き続き研究対象としている「再会時間」(同じ近傍から出発した2点が再び同じ距離以内に近づくまでの時間)について、典型的なカオス的力学系であるベルヌイ系の場合の平均値の解析を続け、長さnの筒形集合を近傍とする再会時間分布が満たす漸化式を求め、一般化したフィボナッチ数列になることを示した。この「再会時間」というのは、比較的強い混合性を持つカオス的力学系において意味を持つ新たな指標であり、今後も研究を続けていきたい。
なお、本研究に関連して、再帰時間および再会時間の問題等について、2010年3月にエコール・ポリテクニークとパリ第六大学において国外の研究者と情報収集および共同研究を行った。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 到達時間分布と再会時間分布2010

    • 著者名/発表者名
      平田雅樹
    • 雑誌名

      論文集「非線形現象の数理」

      巻: 1 ページ: 25-35

    • 査読あり
  • [学会発表] Hitting time and Meeting time distributions of Chaotic dynamical systems2011

    • 著者名/発表者名
      平田雅樹
    • 学会等名
      Mathematical Approach to Nonlinear Phenomena II
    • 発表場所
      エコール・ポリテクニーク
    • 年月日
      2011-03-09
  • [学会発表] 到達時間分布と再会時間分布2010

    • 著者名/発表者名
      平田雅樹
    • 学会等名
      研究集会「非線形現象の数理」
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2010-10-21

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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