研究概要 |
当該年度においては,2次元シグマ模型について,UBCのD.Brydges教授との協力の元に,文字通り愚直にWilsonによって提唱されたブロック・スピン変換を行い,いかなる配位が相空間の主要な配位を占めるか分析した。そして第一ステップではあるがその流れの方向を確立した。すなわち,補助場とボソン場を導入して,シグマ模型を普通の0(N)対称のボソンモデルにして繰りこみ群変換が実行しやすい形にして,これら二つの場で,それぞれブロック・スピン変換を行って行く。これによって流れは制御しやすくなり,従前にDyson-Wilson階層近似から得られている近似的な流れと,自由度Nが大きいときには,ほぼ等しいことが確かめられた。これは我々の長年の直感(便宜的な知恵といわれる)がこの系で成り立つことを意味している。これらは今論文として準備中である。 流体力学の分野においてはSinai-Liがおこなったナヴィエ・ストークス方程式の,積分方程式を通じての漸化式からの乱流解の構成があり,その難解な計算を再チェックしたが,計算が荒っぽい部b准がいくつかあってそれらを詰めないと必ずしも構成に成功したとはいえないこと,そしてこれを精緻化することにより,次のステップにいけることを見出し,現在計算をチェックしている。またPerelmanのリッチ・フロウを統計力学の相転移の視点から研究し,このフロウは摂動第一次項から生じ,さらに相転移におけるPirogov-Sinai理論と強い関連があることを見出した。
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