本研究は、申請者が中心となってすばる望遠鏡などによってこれまで取得したデータ及び今後取得を予定している「広域」および「深」宇宙探査データにもとづいて、銀河形成・進化の発展的な研究を遂行しているものである。本年度の成果としては、まず、赤方偏移z=3.1の星形成銀河高密度領域における輝線銀河について詳細な解析を行い、Lyman Alpha Blobsと呼ばれる大きく広がった輝線天体について、その星質量、活動銀河核の活動性などの関連を幅広く調べた。これらの天体には大きな星質量の対応天体が存在し、その輝線強度が星質量に比例することを見いだしたほか、少なくとも15%程度の天体については活動銀河核の兆候が存在することを突き止めることができた。これらの結果は研究論文として出版されている。また、同領域の輝線銀河の輝線強度について詳細に調べ、非常に輝線強度が強い天体に注目して宇宙初期の活発な星形成との関連を調べた。この領域には一般領域と比べて非常に輝線が強い銀河が数多く存在し、非常に若く活発な星形成の存在を裏付ける結果が得られた。この成果は研究論文のほか、国際研究集会での報告を行った。一方、SCDXTデータに基づく広域銀河分布研究からは、古い銀河からなる赤方偏移1-2の密な銀河団候補の同定に成功し、これを元にすばる望遠鏡観測時間の獲得に成功した。観測研究は21年度に実行される予定である。
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