本年度は、磁場を伴う軸対称定常状態のポリトロープ星とその外部の恒星風を同時に求めるために、恒星部分とその周りの密度のきわめて薄い領域である「大気」が定常状態にあるとして数値計算コードを開発し数値解を求めることを試みた。計画では恒星の内部と大気をそれぞれ一つのポリトロープとした「2成分」のポリトロープで扱うことにしていたが、実際に数値計算をしてみると、2つの成分の接続部での滑らかさが損なわれ、密度の薄い部分に生まれた変動が数値的不安定につながつていき、非線形問題のイテレーションが収束させられないことが分かってきた。そのため、ある有限領域でポリトロープ指数を内部での3程度の値から大気遠方での10から20へと滑らかに繋ぐ手法に変更した。その結果、物理量の分布の滑らかさが保持され、解の収束性も高まることがわかった。 一方で、流体の流れと磁場がある軸対称定常問題を扱う際に、磁場のflux関数を問題の基本量と、考える定式化と、流れ関数を基本量として考える定式化がある。もともとは、flux関数を基本量とした定式化を考えていたが、Parker解との比較等の観点からすると、流れ関数を基本量とする定式化の方が解の比較や整理に適していると判断し、現在は流れ関数を基本的な物理量とみなす定式化に従った数瞳計算法を開発している。その数値計算法で、無限遠で有限な流体速度を持つ恒星風はまだ求められていないが、いわゆるBreeze解と呼ばれる、無限遠まで到達する解を求められる段階になっている。
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