今年度は、昨年に引続き軸対称定常状態のバロトロープ星の星風のある数値解を自由に求めるためのステップとして、純粋な流体のみを考えた。そのとき、基本的な物理量として一般化された流れ関数を使用した。その流れ関数をQとしたとき、Q=Rχと変数を変えると、χの従う方程式はポアソン型の方程式となる(ここでRは円柱座標のRである)。そのポアソン型方程式を無限遠で距離とともに減衰するという境界条件をつけるために、1/|r-r'|というグリーン関数を用いて積分形で表現した。重力ポテンシャルを求めるというような通常の問題ではポアソン型の方程式の斉次の項は原点と無限遠での正則性を考慮するときに特異性の存在から取り入れる必要がない。しかし、今扱っている問題ではχの正則性ではなく、流れ関数Qの正則性が考慮されなくてはならない。その流れ関数の正則性を考慮したとき、Parker解に相当する項が現れることになる。その斉次の項を取り入れ、数値計算コードを拡張した。拡張した数値計算コードを使って、球対称なポリトロープ星の内部から無限遠につながる星風のある定常流を求めることができた。この星風は恒星の内部とも滑らかにつながっており、亜音速から超音速へと変化する遷音速解である。 開発された数値計算コードによって、回転がある場合やトロイダル方向の渦度がある場合、および回転と渦度が存在する場合の純粋に流体のみによって構成された星風の解も求めることができるようになった。
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