本研究の目的は、星からのフィードバック、とくに原始星アウトフローの効果を考慮して星団形成過程の数値流体力学シミュレーションを行い、星団形成の理論モデルを構築することである。星団形成の研究は以下の理由から天文学の分野では非常に重要な研究であり、早急に研究を推し進める必要があると考えられる。(1)これまでの星形成の研究は太陽のような孤立した小質量星の形成過程に集中して行われてきた。しかし、銀河系内の星のほとんどは星団の中で誕生する。銀河の進化に多大なる影響を及ぼす大質量星が誕生するのも星団内部である。したがって、宇宙の一般的な星形成過程を探る上で星団形成過程の解明は必要不可欠である。(2)星団形成の研究は、ALMAなどの次世代大型望遠鏡のターゲットの一つであるが、標準的な理論モデルがまだ存在しない。ALMAの稼働が数年後に迫った今、星団形成の理論モデルを構築することが急務である。(3)原始星アウトフローを考慮した星団形成の数値シミュレーションは、世界的にも応募者の最近の研究のみであり、本研究を推し進めることで世界の星団形成の理論研究をリードできる。
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