まず、XMMニュートンディープサーベイ(SXDS)計画のおけるX線データの解析を系統的に行ない、その最終結果を論文として出版した(Ueda el al. 2008)。XMM衛星の7つのポインティングデータを同時に扱い、1.14平方度という広いサーベイ面積から4つのエネルギーバンドでソース検出を行ない、のべ1245個のX線源からなるカタログを作成した。このデータは、チャンドラ深サーベイとそれ以前の衛星によるサーベイの間をつなぐもので、今後の活動銀河核進化の基礎となるデータベースとなる。さらに得られたカタログを用いて、異なるエネルギーバンドでX線天体の2次元相関関数を計算した。2 keV以下のソフトバンドで有意なクラスタリング信号を検出したが、2 keV以上のハードバンドでは過去の別のサーベイデータから報告されていた強い相関信号は見つからなかった。過去の研究では、SXDSと比べてサーベイ面積が狭く、統計バイアスの影響が除外できていない可能性があることを指摘した。SXDS計画では、同時に可視の研究者との共同研究で、高赤方偏移にあるライマンα放射天体の進化をかつてない精度で制限し、X線のデータと併せて、それらへの活動銀河核成分の寄与を明らかにした(Ouchi et al. 2008)。これらの研究と並行して、MAXI計画を推進し、MAXIシミュレータの開発、それを用いたイメージ解析手法の開発を行なった。それをもとにMAXIの検出感度を積分時間の関数として正確に導出し、MAXIで達成されるサイエンスを議論した。これらの結果は、国内で開かれた第三回MAXIワークショップおよび、ネパールで開かれた時間変動天体についての国際会議で口頭発表した。
|