宇宙における相対論的エネルギーを持った非熱的粒子の加速機構の解明は長年の大きな課題である。その基礎となる衝撃波による統計加速機構は、多くの長所を持っているものの、定量的な予言、観測との比較の点から見るといまだにさまざまな未解決の問題を抱えている。一方、最近数年の間に空気チェレンコフ望遠鏡HESSによる多数の銀河系TeVガンマ線源の発見、チャンドラX線衛星による超新星残骸や活動銀河ジェットの高角度分解能観測、さらには2008年度に打ち上げられたフェルミガンマ線衛星の観測によって、粒子加速に関係する興味ある観測事実が多数発見されてきている。本研究では、これらの観測と対比しながら、非熱的粒子の加速機構と放射機構の理論的研究を行うことを目的としている。具体的には、ミクロなプラズマ過程、マクロな電磁流体過程を踏まえた衝撃波粒子加速過程の検討を行うとともに、超新星残骸、パルサー星雲、活動銀河、マイクロクェーサー、ガンマ線バーストなどの活動天体における粒子加速過程と非熱的放射についての理論を構築し、観測的事実との比較検討を行う。
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