研究概要 |
1.我々はGGD27領域をチャンドラX線天文衛星で観測し、中心部にX線源の集団を検出した。Spitzer赤外線天文衛星のアーカイブデータを解析し、X線天体と対応をつけた結果、X線源は若い星状天体の星団であることが判明した。特にそのうち4つは我々が新たに認識したClass I原始星であった。そのClass I原始星の1つは、広大な分子流やジェットを駆動していることで有名なGGD27-ILLであった。4年前に我々が同じ領域をChandra衛星で観測したときに比べ、GGD27-ILLは10倍程度暗くなっていた。GGD27-ILLはBO型のスペクトルを持つとされ、大質量の原始星である。このような進化段階と質量を兼ね備えた天体の本体を、周りに存在する大質量の塵を透過して見ることができた例はいままでほとんどなく、原始星の進化状態を知るうえで貴重なサンプルとなった。(Pravdo, Tsuboi, et al.2009) 2.上のような大質量星原始星からのX線と比較できるサンプルとして、大質量星ではあるが、進化の進んだ星(Wolf-Rayet星)の観測をXMM-Newton衛星で行った。観測を行ったθMusという連星系からは、3000万度に及ぶ高温成分の存在、RRC (Radiative Recombination Continuum)構造から約5万度の低温成分の存在が示唆された。また、さまざまな輝線から約600km/sの赤方偏移が検出され、θMusが三重連星であり、X線は100AU離れたO型超巨星との星風衝突領域から放射されているという解釈が妥当であることが判明した。(Sugawara, Tsuboi, Maeda2008)
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