研究概要 |
WR連星WR140(WC7+O5I)の近星点付近でのX線モニター観測をX線天文衛星すざくで行い、10keV以上の高エネルギー成分をWR連星として初めて検出した.また定常的に存在する低エネルギー成分を発見した(Sugawara et al.2010AIP conf.proc.)。変動成分のエミッションメジャー、および吸収の変化から、大質量星における星風加速、星風放出量、放射領域の場所に制限を与えた(Sugawara et al.2010Proc.of the39th Liege Astrophysical Colloquium、Maeda et al.2010AIP conf.proc.)。 Chandra衛星、およびXMM-Newton衛星によって大質量原始星の探査を行い、X線を検出した。得られたプラズマの温度の高さから考えて、X線放射は星風起源より磁場起源である可能性が高いことを結論づけた(Tsuboi, Y.2010, "Magnetic Fields : Core collapse to YSOs"口頭発表) 全天X線監視装置MAXIが2009年秋から稼働し始め、硬X線帯域における感度の高いモニターが可能になった。これを利用して、我々は星からのX線の変動を探査した。その結果、RS CVn型星から10フレア以上、前主系列星から1つのフレアを検出し、星としての最大フレアの重要サンプルを得ることた(Matsuoka et al.2010Proc.of the SPIE, Tsuboi et al.2010 4th International MAXI Wbrkshop口頭発表)。 Astro-Hミッションは、2013年度に打ち上げ予定のX線天文衛星である。硬X線帯域に広くのびて感度を持ち、鉄のK-alpha line付近のスペクトル分解能は従来に比べ桁違いに良くなる。これを用いてどのようなサイエンスが可能になるかスタディした(Takahashi et al.2010Proc.of the SPIE)。 将来の衛星で原始星の降着円盤の形状を測るために有効な、偏光に感度を持つ光学系を開発した。薄さ50μmのシリコン結晶上にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)をプラズマCVD法で成膜し、曲率を持った反射鏡を製作することに成功し、DLCの厚さと曲率半径との関係、曲率半径と反射率の関係についてスタディし、偏光に感度を高く持つことを確認した(Iizuka et al.2010Proc.of the SPIE)。
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