現在岡山天体物理観測所では、共同利用装置である188cm望遠鏡と高分散分光器HIDESとを光ファイバーで結んで、観測効率のアップ(約1等級)や視線速度測定精度の向上を図ろうとする計画が進んでいる。この光ファイバー化が成功すれば、系外惑星探しや星の振動の研究など、現在HIDESを利用して行われている多くの観測を、倍以上の効率で行うことができるようになる。本研究の目的は、この計画を確実かつ速やかに成功させるために、実験室でHIDESと同等の性能をもった簡易分光器を安価に組み上げて、導入予定の光ファイバー光学系の精査を行うことである。特に最近、同様のファイバー導入式分光器において、モーダル・ノイズによるスペクトルのSN比の劣化がしばしば問題となっているため、本研究ではこの点を中心に調査を進める予定であり、最終的にはその影響を低減させる方法を確立していくことを目指している。 導入する簡易分光器は、HIDESと同等の分解能を持ちつつも同時観測波長域を狭くしたものであり、コリメータやカメラに長焦点球面鏡を採用したり、既有の光学定盤、エシェル・グレーティング、CCD検出器などを利用したりすることで、極めて安価に組み立てることができる。 計画初年度の今年度は、簡易分光器の最終設計、各部品の製作、仮組み上げを行った。今後は、分光器の最終調整を行い、平成20年度に製作した高効率光ファイバー経路のテストを進めていく予定である。
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