研究概要 |
当該年度は平成20・21年度に行った日本書紀と続日本紀の天文記録に関する研究を継続・発展させ,7世紀に日本で観測天文学が始まったが,7世紀の終わりから8世紀にかけて観測が記録されなくなり,7世紀の終わりに観測天文学が衰退し,天文学に対する態度が変化したことを明らかにした.また,日本書紀に掲載されている天の磐戸の記事について,これが紀元後の日食を現わしていると仮定するとその日食候補がかなり絞られることを示した,我々の研究をさらに発展させるため,神道学を専攻している國學院大學の特別研究生・渡辺瑞穂子氏を交えて元嘉暦の勉強会を継続し,合わせて儀鳳暦の勉強会をも開始した。同氏とは日本書紀の巻の分類についても共同研究を行い,従来のα・β群とは異なる「地天泰」群の分類を提唱した 2010年9月に国立天文台で行った第7回東洋天文学史国際会議(ICOA-7)では相馬が実行委員会委員長を務めた.その会議には11カ国から約60名の天文学史研究者が集まり,研究発表や議論が活発に行われ,東洋の古記録等についても情報交換が行われた.その会議において,相馬が古代の掩蔽記録から得られる地球自転速度変動について,谷川が古代において日食がどのように記憶されるかについて,それぞれ講演した 第4回天文学史研究会を2011年1月に国立天文台で行い,その場に韓国のYong Bok Lee氏とSang-Hyeon Ahn氏,インドのMayank Vahia氏を招いて,韓国やインドの日食等の古記録について講演していただくとともに,それらについて情報交換を行った
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