本研究では中重核領域の原子核構造およびシッフモーメントについて研究を行い、次のような研究成果を得た。(1)中性子過剰なSe、As、Ge、Gaアイソトープに対して殻模型計算を行い、計算で得られたエネルギーレベルと電磁遷移を実験値と比較した。殻模型の結果の解析から、高スピン領域では0g9/2軌道にある中性子2個の整列が現れることを確認した。(2)遷移核の構造を調べるため、生成座標法による計算の新しいアルゴリズムを開発した。この理論のSe、Ge偶偶核への適用により質量数80領域の三軸非対称変形の重要性を示した。(3)質量数130領域の原子核の基底状態について、核子固有のEDMにより生じるシッフモーメントを殻模型により計算した。また、シッフモーメントの結果を用いて129Xe原子のEDMの上限値を評価した。
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