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2011 年度 実績報告書

弦理論の非摂動的定式化を用いたDブレーンとブラックホールの解析

研究課題

研究課題/領域番号 20540253
研究機関東京大学

研究代表者

松尾 泰  東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (50202320)

キーワードM理論 / 超弦理論 / ブレーン / 双対性 / 対称性 / W代数 / インスタントン / 戸田方程式
研究概要

この研究の目標は弦理論の非摂動的定式化であるが,その一つの有力な選択肢としてM理論があげられる。特にM理論の5次元のブレーンは,弦理論の間の双対性の対応を考える上で基本的な役割を果たしていると考えられる。この5次元のブレーンはこれまでのDブレーンとは違い非可換な2形式場で記述されていると予想されているが,その数学的な理解がこれまではそれほど発展していなかった。私はP.M.Ho氏らとの共同研究で1次元空間をコンパクト化を行うことにより非可換な自己双対2形式の作用が書けることを発見した。これはこれまでの先行研究に無かった著しい結果である。その後,得られた作用の超対称化を目指して研究を継続している。
もう一つの大きな成果は,いわゆるAGT関係式と呼ばれる4次元理論と2次元理論の対応関係に関するものである。これは上と同様に弦理論の双対性に深く関連する分野で,上で述べたM理論の研究をトップダウンとすると,ボトムアップ,すなわち個々の双対性を数学的に厳密に理解しようとするものである。今年の研究成果としては,この2つの理論の間の対応関係の背後にある対称性としてW無限大代数があることを発見したことがあげられる。W無限大代数とは2次元の面積保存変形を記述する変換であり,量子ホール効果などの他分野でも重要と考えられている対称性である。この対称性は4次元理論ではインスタントンモジュライ空間に作用することが理解され,一方で2次元理論では相関関数を厳密に規定する対称性として実現されることが理解できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

M理論の5次元のブレーンの定式化は研究課題の実現への最も難しいステップであったが,今年の研究成果としてその一つの可能性が理解できたことは大きな進展であった。ただし,超対称化などの難しい問題も残っているので全体としての評価は2とする

今後の研究の推進方策

M理論の5次元のブレーンの定式化をさらに推進し,超対称性の実現を達成する。これにより様々な次元の理論の間の双対関係が明らかになると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A Non-Abelian Self-Dual Gauge Theory in 5+1 Dimensions2011

    • 著者名/発表者名
      P.M.Ho, K.W.Huang, Y.Matsuo
    • 雑誌名

      JHEP

      巻: 1107 ページ: 021

    • 査読あり
  • [雑誌論文] W(1+infinity) algebra as a symmetry behind AGT relation2011

    • 著者名/発表者名
      S.Kanno, Y.Matsuo, S.Shiba
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 84 ページ: 026007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Selberg Integral and SU(N) AGT Conjecture2011

    • 著者名/発表者名
      H.Zhang, Y.Matsuo
    • 雑誌名

      JHEP

      巻: 1112 ページ: 106

    • 査読あり
  • [学会発表] A Non-Abelian Self-Dual Gauge Theory in 5+1 Dimensions2012

    • 著者名/発表者名
      松尾泰
    • 学会等名
      Mathematics and Applications of Branes in String and M-theory
    • 発表場所
      ケンブリッジ大学、ケンブリッジ、イギリス(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-12

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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