研究概要 |
(1)開いた弦を持つトポロジカルな弦理論に、新しいタイプの量子異常項があることを発見した。これは、一昨年Johannes Walcherが見つけた、開いた弦理論の振幅の整数性のための条件の由来を説明する。この結果は、開いた弦を使った素粒子模型の構成に応用できると期待される。 (2)2次元のN=(2,2)超対称性を持つ共形場の蓮論のエネルギー順位について、モジュラー不変性からの新しい条件を導出した。このためには、楕円指数がヤコビ形式によって書けることを使った。この結果は、AdS/CFT対応を使うと、3次元重力、特にWitten予想に新しい洞察を与える。 (3)超対称性の破れのゲージ媒介機構をつかって、低エネルギー有効理論を導出する一般的な枠組みを議論した。特に、Seibergらが示した、低エネルギー有効理論と超カレントの相関関数の関係を使うために、超カレントの相関関数の計算の手法を開発した。 (4)M理論のメンブレンの低エネルギー有効理論を調べた。特に、7次元が、いわゆるSquashされた球面であるときのラグランジアンを導出し、その性質を調べた。 (5)超弦理論を4次元にコンパクト化したときに現れるある種の極限ブラックホールの量子状態を、結晶の融解模型を使って記述する方法を開発した。 これらの研究成果により、超弦理論の4次元有効理論の理解が深まり、また超対称性の破れの効果を計算する上での新しい方法が開発された。
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