重イオン衝突の初期段階におけるエントロピー生成の可能な機構を提案した。古典系のリャプーノブ指数が正のとき、系の不安定性と伏見関数により取り込まれる疎視化のために、量子系において(Wehrl)エントロピー生成率が正になることを示した。「くりこみ群法」を用いて、Israel-Stewartレベルの流体方程式を導出した。エネルギーフレームでの完全な表式を始めて与えるとともに、Gradのモーメント法に基づく粒子流フレームの方程式導出には接合条件の設定に問題があることを指摘し、仮定のない導出を行った。 密度ゆらぎによる光散乱理論を相対論的系に拡張し、熱力学量および輸送係数の臨界点での振る舞いが密度揺らぎのスペクトル関数にどう影響するかを散逸流体方程式の初期値問題を解くことにより考察した。QCD臨界点ではフレームによらずレーリーピークのみが残ることが判明した。文献で提案されている散逸系流体方程式の特性も明らかにされた。 核媒質中におけるGlashow-Weinberg関係式等を導き、媒質中でのパイ中間子崩壊定数とクォーク凝縮体およびパイ中間子の波動関数くりこみ定数を結びつける公式を低密度近似の元に求めた。その結果、媒質中でのパイ中間子の質量についての仮定を用いることなく、パイ中間子崩壊定数の減少はカイラル相転移の秩序変数であるクォーク凝縮体の減少を帰結することを示した。
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