研究概要 |
1. カーブラックホール周りを小さな星が運動する際に放出される重力波波形のポストニュートニアン展開の表式から、因子分解・再総和法(factorized resummation method)と呼ばれる方法で収束性を改善する方法について研究を行った.これは,従来スピンなしブラックホールの場合にされていたものを,スピンありの場合に拡張したものである.その結果、収束性の良い重力波波形の表式を導出した.その精度についてブラックホール摂動法に基づく数値計算結果との比較を行い、ポストニュートン展開より良い収束性が得られることを確認した.2.コンパクト連星合体重力波を複数の重力波検出器により検出するためのコヒーレント解析方法について,非定常非ガウスノイズの選別手段として用いるカイ2乗選別について,カイ2乗の新しい定式化方法について研究を行った.3.ロングガンマ線バーストの中心天体として想定されているカーブラックホール周りの物質から,逆チャープ信号となる重力波が放出されるというシナリオに基づき,TAMA300アーカイブデータを用いながら,マッチドフィルター法による検出方法について調べた.LCGTやadvanced LIGOなどでは35Mpcから50Mpc程度の距離までその重力波を検出できる可能性があることが分かった.4.ブラックホール周りの物体の運動に関連して,電荷を持つブラックホール周りの2つのダスト球殻の加速運動に対する自己重力の影響について調べた.自己重力効果により重心系エネルギーの発散は抑制されることを示した
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