研究課題/領域番号 |
20540274
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宗 博人 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20196992)
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研究分担者 |
加藤 光裕 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80185876)
坂本 眞人 神戸大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30183817)
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キーワード | 素粒子論 / 場の理論 / 格子ゲージ理論 / 超対称性 |
研究概要 |
本研究課題の目的は、自由度を多く導入することで、格子上での超対称性を正確に実現することである。もともと1フレーバーでの格子上の正確なライプニッツ則は成立しないことが我々によって、一般的な仮定のもとで示されていたことと、行列表現のように無限フレーバーでは正確なライプニッツ則が成立していることが分かっていた。そこで、本年度の計画としては、有限フレーバーのライプニッツ則の検討と行列表現や高次元理論の場合の有限フレーバーリダクションを行なうことである。 本年度の成果としては、 1有限フレーバーの場合は、局所性と並進不変性を格子理論に課す限り、 ライプニッツ則を満たす格子理論は、相互作用できないという結論に達した。 これは適当なフレーバーの基底をとると、局所性と並進不変性を持つ格子理論は、ライプニッツ則を満たすが、場の積が0となる成分と、ライプニッツ則を満たさないで、 場の積が非自明になる成分に分秋されることが分かる。 2有限フレーバーの無限極限として、行列表現の理論と高次元理論が考えられるが、 前者の場合、いかなる質量項を入れても、並進不変性と局所性を満たしたまま 有限フレーバーリダクションは不可能であることが分かった。 後者は、KKモードとして、自然に質量項が導入されるが、まだまだ理論の全景が分かっている訳ではないので、とれから解析を進めなければならないし、ライプニッツ則との関係は未だ分かっていない。 3ところで、正確なライプニッツ則の成立のみが格子上での超対称性の実現への道なのであろうか。実際、ニコライ写像というものがあり、超対称性のボゾンとフェルミオンの関係を再現する場の変換があるが、これを実現するのは正確なライプニッツ則の成立は必ずしも必要ではない。この点に、今後集中する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1フレーバー理論を含む、有限フレーバー理論でのライプニッツ則の成立は、不可能であることが分かってきた。これは、高次元化してもKKモードが十分に重い場合は、同様に不可能であることを意味している。また、行列表現も含んだ無限フレーバー理論は、局所性を保ったまま有効有限フレーバー理論に落とすことが難しいとわかってきたからであり、ライプニッツ則に対する根本的な考え方を変えなければならないと思えるからである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、格子上の高次元理論とライプニッツ則との関係以外に、格子上のライプニッツ則そのものよりも、ニコライ写像の成立に必要な格子上の場の積と差分の関係に注目する必要がある。その中で、ライプニッツ則との関係を調べたい。
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