本年度はこの研究課題の最終年度なので、実際に構築された理論(超対称性(SUSY)の格子上の変換性、作用、SUSY代数)の検証およびさらなる新しい理論の形式の拡張の示唆を確認した。具体的には、格子上でより多くのフレーバーや自由度を持つ理論を構成し、その中で軽いセクターの部分で、ライプニッツ則を保つ超対称代数を実現させることが可能かを確認した。がしかし、格子上でより多くのフレーバーや高次元起源のKaluza-Kleinモードのような自由度を持つ理論においては、格子上でライプニッツ則を保ちつつ超対称代数を実現させることは難しいことが分かった。 元々、この研究課題期間中(2008年)に、我々によって格子上のライプニッツ則は局所性と並進不変性を持つ理論では成立しえないことを示していたので、その定理の打破のために行列表現(この場合は行列の大きさがフレーバーの数)と差分の表現としての交換子によってライプニッツ則の実現をはかった。この場合、連続極限においてフレーバーも同時に無限大になり、それが原因で理論に非局所性をもたらすことが分かってきた。また、高次元起源のKaluza-Kleinモードのような自由度を持つ理論も考えたが、モードをtruncateすると元の対称性をこわしてしまうが、それを補って余りあるSUSYの実現はできなかった。 そこで次期の研究課題として、格子上のライプニッツ則の変形を考え超対称性にどういう影響を及ぼすかを考えることを今後の研究課題としたい。低次元から計算を始め、超対称量子力学の模型において具体的な変換および作用を構築し、SUSY実現の例であるニコライ写像をあらわに構成したい。
|