平成21年度は、つぎのような課題を中心に研究も進めた。 1) 現実的対相関と対中性子および対陽子の表面凝縮 対中性子および対陽子はそれ自体は結合状態を作らないが、原子核中では核物質の効果により結合態を作る可能性がある。Bruckner型核子相互作用から決定した対相関相互作用をHF+Bogoliubov理論に応用し、崩壊線上近傍の原子核における対中性子の表面凝縮、及び実験的的検証の研究を行った。また、陽子崩壊線上近傍の原子核における対陽子、の表面凝縮を含めたクーパー対の凝縮相に対するクーロン力の効果および実験的検証の方法を検討した。またglobalな質量公式に対する、対相関のIsospinも研究した。 2) 対相関エネルギー密度関数と中性子星の構造および冷却過程。 中性子星の冷却過程には、熱容量を通じての対相関の重要な効果が知られている。我々はアイソスピンに依存する対相関エネルギー密度関数を用いて中性子星の熱容量を計算し、またその冷却過程に対するハイペロン粒子の効果を調べた。 3) スピン依存型巨大共鳴のteosor相互作用も含めたSkyrme相互作用でのHF+RPA模型による研究。 近年開発されたteosor相互作用も含めたSkyrme相互作用によるHF+RPA計算によりスピン依存型巨大共鳴の研究を行い、Gamow-TellerやSpin-Dipole状態に対するteosor相互作用を研究した。そのなかで、Gamow-Teller状態のquenchingに関する新しい知見を発表した。また、Spin-Dipole状態の、励起エネルギーに関するテンソル力の効果の詳細な検討を行った。
|