平成22年度の研究は、平成20-21年度の研究を継承発展させるとともに、次のようなテーマに重点的に取り組んだ。 ・Skyrme型のテンソル力とSpin-Dipole励起 ここ数年、テンソル力の平均場や励起状態に対する効果が注目されている。テンソル力の特徴として、強い角運動量依存性があり、我々はスピン双極子型遷移に注目し、自己無撞着なHartree-Fock+ random phase近似をもちいて、テンソル力が励起エネルギーに対してどのような効果を持つかを明らかにしてきた。この研究により、現象論的なテンソル力を含むエネルギー密度関数とLandau parameterの関係に注目し実験との対応からその現実的なparameterを選んだ。 ・粒子-振動結合に対する統一的微視的理論 一粒子エネルギー準位やそのspectroscopic因子にたいする平均場近似をこえた効果の重要性が注目されている。我々はSkyrme相互作用に基づいて統一的なself-consistentな理論により粒子-振動結合を用いて一粒子エネルギーを評価し実験量との対応しながら、その効果を定量的に検討した。 ・原子核の非圧縮率と対相関 対相関が強い原子核で、原子核の基本的な性質である非圧縮率がどのような効果を受けるかを、微視的理論により計算し、対相関の定量的な効果を明らかにした。
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