1.エキゾチックハドロンの候補であるX(3872)中間子の解析 X(3872)を、スピン1、パリティ+、荷電パリティ+の量子数を持つ、2中間子状態とクォーク反クォーク対の芯の重ね合わせであると仮定した。その上で、ベクトル中間子ρ、ωの幅を考慮して、ccbarからX(3872)の共鳴を通じて、J/ψρ(→2π)、J/ψω(→3π)、DD^*へ崩壊する遷移強度を解析した。その結果、実験で見られるものと同様のピークを得られること、また、実験の崩壊幅に見られるアイソスピンの大きな破れは、2中間子のしきい値の違いから来る、崩壊の起きる短距離部分では小さな影響しかないはずの破れが、ρ中間子の大きな崩壊幅によって拡大されたものとして理解できることを明らかにした。 2.エキゾチック・ハドロンであるZ_b(10610)^+とZ_b(10650)^+の解析 X(3872)を再現するようなDD^*間力からクォークの質量差を考慮してBB^*間力を導き、それを用いてZ^+_bの状態を求めた。Z^+_bには、X(3872)にあるccbar芯に対応する状態がないために引力は弱くなるが、B中間子の質量が重いためにBB^*状態が結合状態を作り易くなる。ダイナミカルな計算をすると、これらの効果が相殺され、Z^+_bは、浅い結合状態、または、しきい値の直ぐ上の共鳴状態となり、実験と無矛盾であることを示せた。また、構成粒子であるBおよびB^*の崩壊幅を考えると、この浅い結合状態としきい値の直ぐ上の共鳴状態は、崩壊スペクトルとしては類似することも示した。
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