本年度の研究は、まずSO(10)GUTの5次元模型の残された課題、レプトジェネシスについて議論を行った。我々の模型は、いわゆる小林・益川のCP位相以外に多くのCP位相を含み、またそれらが低エネルギーの現象からほとんどあいまいさなく決定される。レプトジェネシスや素粒子の電気双極子(EDM)はその絶好の目標である。 また同様のファイマン図から、レプトンフレーバーの破れがでてくる。(前者は虚数部分、後者は実数部分)それについては、特にミューオンの異常磁気モーメント\mu-e\gammaについても議論した。 また、本年度の実施計画でも述べたごとく、我々の「繰り込み可能な最小SUSY SO(10)GUT」の本質的な部分を損なわずに、結合定数の統一の破綻と早すぎる陽子崩壊の問題を避けるにはどうすればいいかを考えた。いくつか進展があったので、近いうちに論文に出したいと考える。 EDMについては、理論のreviewを準備するとともに実験家とも協力して研究している。 すなわち、原子のEDMが、測定されたとして(その可能性は大いにある)、其処からいかに電子やquark、核子のEDMを導出するかという理論的課題である。 原子核や電子の多体系に関連していまだに信用の置ける結果が得られていない。この点についても何回か会議を開いて、意見交換した。
|