重力の量子論を解明することは、理論物理学において解決を迫られている最も重要な問題の1つです。その有力な候補として、世界的にも国内でも超弦理論が活発に研究されていますが、その現実的な検証可能性を探る試みはあまりされておりません。この理論を検証できる数少ない状況がブラックホールを含む重力解の研究です。超弦理論は高い次元で定義されていますが、高次元の重力理論には、4次元では考えられなかった非常に面白い未知の性質がたくさんあることがわかっています。本研究計画では、超弦理論の非摂動的解としてのブレイン及びブラックホール解を調べると同時に、その物理的な応用としてこれらの解に含まれる特異点の性質を解明することを目的とします。超弦理論またはM理論の低エネルギー有効理論である超重力理論には、大変面白い交差したブレイン解を構成するかなり系統的な方法があることがわかっています。このような一連の解を詳しく調べ、超弦理論の性質を解明していくことが主要な課題です。また、超弦理論には超対称性を持つ時間に依存した解があることが最近わかりましたが、これは宇宙初期の特異点の問題を解明するのに役立つことがわかりました。本研究計画では、これをさらに拡張して、超弦理論による特異点解消の機構の解明を探求することも第2の課題としています。
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