特異なカラビヤウ空間上への超弦のコンパクト化における最近の進展に基づいて、素粒子の標準模型を越える現実的な模型を構成してその理論的性質及び現象論的帰結を調べ、LHC稼働後に予想される素粒子理論研究の新しい方向性に超弦理論として対応することを目的として、次の3項目について研究を行う。 (1)厳密な共形的場の理論によって特異なカラビヤウを記述し、葉巻型空間の先端に位置する4次元に局在するモードを用いてE8×E8ヘテロティック弦をコンパクト化し、この新しいコンパクト化の枠内で現実的な超対称大統一理論を実現できるか明らかにする。 (2)知られた場の理論的機構によってゲージ対称性および超対称性の破れを実現し、標準模型を含む現実的な模型に帰着させ、現在議論されているさまざまな現象論的シナリオと関連させる。 (3)共形的場の理論による特異なカラビヤウの記述が提出する新しい時空の描像を一般相対論的・宇宙論的な側面から研究し、観測と矛盾しない超弦に基づくインフレーション模型の構成を目指す。
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