研究課題
本研究は、核磁気モーメントを質量数40以上の中性子過剰核を含めた幅広い領域にわたって系統的に決定するために、新しい手法による不安定核のスピン偏極生成法の確立を目的としている。前年度までに開発した陽子偏極生成装置を用いて、磁場65mT、温度300Kの条件と磁場113mT、温度300Kの条件下で陽子の偏極生成に成功した。これらの条件での偏極緩和時間はそれぞれ4.0±0.4min.と11.9±2.5min.と得られた。また、磁場113mTでの偏極時間発展は5.2±0.9min.と得られた。これらの結果から磁場113mTにおける電子から陽子への偏極移行効率を見積もると0.3±0.2であった。現状では陽子偏極度の絶対値を直接的に測定することは困難であるが、電子占有数差73%を実現した場合の陽子偏極度は22±15%になると期待される。開発した核磁気共鳴(NMR)装置を発展させ、二重共鳴型交差偏極法を陽子偏極生成装置に導入した。この装置では単一のNMRコイルを偏極移行前後の二つの核種の周波数に同調させる方式とした。この偏極生成装置を用いて、磁気モーメントが既知の原子核に陽子偏極を移行する偏極移行を行った。偏極移行先の核種として、まず、分子結晶中に含まれる^<13>Cへの移行を行った。
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Proceedings of PST2009, Ferrera, Italy
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