研究課題
1.薄型大面積NaI(T1)シンチレーターの性能評価(1)15cm×15cm×0.1cmの薄型NaI(T1)シンチレーターを用いてその性能を評価した。(2)NaI(T1)結晶の防湿は実験に際して非常に重要な性能であるため、長期間の測定で湿度による潮解が起こらないことを確認しながら開発を進めた。(3)エネルギー分解能を測定するために^<241>Am及び^<133>Baのガンマ線源を照射して低エネルギーのガンマ線に対する応答を測定した。測定に際して、高速波形弁別の方法を開発し、ノイズの除去に成功した。(4)エネルギー分解能については、60keVにおいて半値全幅が24%となった。^<127>Iの励起状態からのガンマ線を測定し、妨害となる不純物からのガンマ線(^<210>Pbの46.5keV)を分離するには20%程度のエネルギー分解能が必要である。今回の開発では目標とするエネルギー分解能にわずかに届かなかったが、薄型・大面積のNaI(T1)シンチレーターとしては十分に高い性能を得ることができた。宇宙暗黒物質探索に十分応用可能な性能である。(5)エネルギー閾値の測定ではガンマ線源を用いずに測定を行い、高速波形弁別によってノイズ事象を除去して解析を行った。その結果、エネルギー閾値は2keVとなり、これも暗黒物質探索に対して十分な性能であることを確認した。2.光センサーの性能評価(1)光センサーには半導体素子を用いたMPPC(Multi Pixel Photon Counter)を検討した。(2)単独のMPPCについて、ノイズレベルおよび光電子ピークの分解能を測定し。その結果、常温では5光電子程度までに強いノイズが存在し、検出器のエネルギー閾値に悪影響を与える恐れがあることを確認した。(3)5光電子以下のノイズについて計数率を測定し、複数のMPPCを組み合わせて使用すれば暗黒物質探索に必要な低ノイズ測定が可能であることを確認した。
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