今年度は、KEK-PSによる実験、E391aの2005年のデータ収集ラン(RUN-III)のデータサンプルを用いて、HyperCPによって示唆されたX(214MeV/c^2)のK_L→π^0π^0X(214)、X(214)→μ^+μ^-崩壊過程における探索を中心に行った。この未知粒子Xはその解釈として、スカラーゴールドスティーノ、あるいは超対称性理論から予想される軽いヒッグズ等が考えられる。 解析手段として、CsIカロリメーターに4つのγ線クラスターのある事象をスキムしたサンプルを作成し、再前方のBAカウンターPWO層に5層とも2個のμによる最小イオン化エネルギー損失×2が与えられていること、さらに再構成されたπ^0π^0有効質量がその閾値程度であることを要求することでK_L→π^0π^0X(214)、X(214)→μ^+μ^-過程を効率よく選びだし、かつ背景事象を除去する手法を確立した。シミュレーションにより、この方法でのE391a実験による1事象観測あたりの崩壊分岐比検出感度は10^<-7>〜10^<-6>と推定され、混入する背景事象は1事象を下回るレベルに抑制されることが分かった。 現時点でX(214MeV/c^2)粒子の条件を満たす事象は検出されておらず、K_L→π^0π^0X(214)、X(214)→μ^+μ^-過程分岐比の実験的上限値の定量化のため背景事象の詳細な検討を行っている。
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