宇宙における超高エネルギー現象を理解するためには、その観測手段となるX線、ガンマ線や宇宙線などの放射線の発生および粒子加速のメカニズムを解明することが必要かつ重要である。そのメカニズムを解明するには宇宙を観測するだけでなく、地上の身近な現象を注意深く観測することによっても新たな知見が得られることもある。 本研究は、どこにでも起こりえる雷雲中の大気電場によって、どのように粒子加速が行われているかを研究する。身近な粒子加速の現場を捉え、銀河のどこかで起こっている宇宙線の加速機構の解明に結びつけることを研究目的とする。具体的には、我々が中国との共同で行っている宇宙線空気シャワー観測装置(チベット空気シャワーアレイ)で得られる荷電粒子情報と雷放電との相関を調べ、雷雲電場に起因した粒子加速現象が起こっているかどうかを検証していく。 今年度は国内で準備および試験運転を行った雷センサーやフィールドミル大気電場計ほか、各種モニターを中国チベット自治区羊八井の宇宙線観測所に設置した。実際に宇宙線空気シャワー粒子と雷放電現象との関係を調べるためには、チベット空気シャワー観測装置と連動した長期観測が必要であり、次年度も引き続きデータの収集を行う予定である。
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