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2008 年度 実績報告書

3d遷移金属化合物系のバルク敏感硬X線光電子分光の理論

研究課題

研究課題/領域番号 20540324
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

田口 宗孝  独立行政法人理化学研究所, 励起秩序研究チーム, 研究員 (10415218)

キーワード硬X線光電子分光 / 3d遷移金属化合物 / 配置間相互作用模型 / コヒーレント状態 / Zhang-Rice二重項束縛状態 / 金属絶縁体転移 / バンドギャップ
研究概要

本研究の主要テーマである、3d遷移金属化合物系の硬X線光電子分光(HX-PES)における(1)VO_2の金属絶縁体転移に伴う電子状態の変化の機構解明及び(2)NiOの電子状態の再検討の理論研究において大きな前進があった。(1)に関しては、VO_2の金属絶縁体転移に伴う価電子帯の電子状態の変化とHX-PESのスペクトル変化を我々の開発した拡張型配置間相互作用模型で統一的に理解できることを初めて示した。また、VO_2の金属絶縁体転移はMott-Hubbard転移である可能性が高いことを指摘した。(2)に関しては、典型的なモット絶縁体と考えられてきたNiOのバンドギャップの起源の再検討を行なった。NiOの電子状態とりわけバンドギャップの起源についての研究は、3d遷移金属化合物全体におけるモット絶縁体の概念を見直し新しい描像(Zaanen-Sawatzky-Allen理論)が生まれる直接のきっかけを与えるなど、現在の標準的理論の形成に大きな影響を与えてきた。そのバンドギャップの起源は、これまで酸素2p-Ni3d電荷移動型ギャップであるとされてきた。我々は、HX-PESスペクトルの形状を理論解析し、その結果NiOのバンドギャップは従来の解釈とは異なりZhang-Rice二重項束縛状態から構成されていることを初めて示した。
これらの成果は国内においていち早く評価を受け、2009年1月に東京大学本郷キャンパスで開かれた日本放射光学会・放射光科学合同シンポジウムにおいて招待講演として発表された。また、我々の成果は国際的に評価を受け、2009年5月にアメリカのブルックヘブンで開かれる国際会議においても招待講演として発表する予定になっている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Revising the Valence-Band and Core-Level Photoemission Spectra of NiO2008

    • 著者名/発表者名
      Munetaka TAGUCHI
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 100

      ページ: 206401-1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evidence for Mott-Hubbard Metal-Insulator Transition in VO_22008

    • 著者名/発表者名
      Ritsuko Eguchi
    • 雑誌名

      Physical Review B 78

      ページ: 075115-1-5

    • 査読あり
  • [学会発表] 硬X線光電子分光による強相関物質の研究2009

    • 著者名/発表者名
      田口宗孝
    • 学会等名
      日本放射光学会
    • 発表場所
      東京大学、本郷
    • 年月日
      2009-01-12
  • [備考]

    • URL

      http://www.riken.jp/lab/riken-sx/

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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