研究概要 |
SPring-8,BL43IR(赤外物性ビームライン)において,赤外放射光を光源とした赤外近接場分光(SNOM)装置を開発するため,平成20年度,近接場分光に特化した装置を発注,導入した.SNOM測定のためのプローブは金属コートした散乱型プローブとした. 更に,近接場分光を行うためのステーションを整備した.金属コートしたプローブに斜め横方向から赤外放射光を入射するための光学系を構築した.入射光は倍率25倍のシュバルツシルトミラーで集光し,集光点におけるスポットサイズは,約10μmであった,スポット位置に金ミラーを設置し,反射光をMCT検出器で測定したところ,スペクトル強度は,BL43IRに既存の顕微分光ステーションにおける強度と同程度であった.これら,スポットサイズと強度などの性能を確認したうえで,赤外光をプローブ先端にあて,ここからの散乱光をMCT検出器に導く光学系も整備した. テストサンプルとして,金ミラーの上に分散させたプリスチレン微小球(直径2μm)を測定したところ,ポリスチレンに特有の赤外領域のバンドを1600cm^<-1>付近に観測することができた. 今後,ゼオライト粉末試料の1粒を用いたスペクトル測定を行うとともに,空間的な情報を与える,マッピング測定も行えるように装置を整備する予定である.これらの結果を踏まえ,ゼオライト骨格の種類や,粉末結晶の外形によるスペクトルの違いなどを考察する予定である.また,今回のデータも含めて,随時,論文発表,学会発表を行っていく.
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