本研究はパルス磁場を用いた高速磁場掃引によりスピン系の凝縮状態における高速緩和・過渡現象を交流比熱測定を用いて磁場の関数として連続的に測定し、磁場誘起量子相転移に関する知見を得ることを目的としている。世界的にもほとんど前例のない試みであるが、ひとまず絶対値の精度を無視すれば、相対変化として定性的議論に十分耐える測定結果が得られるはずである。 初年度である平成20年度は、装置開発に全力を傾注した。試作機を用いたゼロ磁場における良好なテスト結果を受けて、現在、定常磁場中でのテスト、パルス磁場中でのテストを行っており、試料を用いた実際の測定は次年度に行う予定である。 初年度は装置開発がメインであるため、具体的に研究成果を述べることは難しいが、開発は当初の研究計画通り順調に進んでおり、21年度夏の磁性国際会議(International Conference on Magnetism 2009ドイツ)で成果公表を予定している。
|