研究概要 |
(TMTCF)_2X,X=S,Se,で表記される塩は、擬1次元電子としての特徴を持っておりその低次元物性およびTMTSF塩において観測された超伝導などに興味が持たれ研究されて詳細に研究されてきた。近年のこの塩における超伝導の研究においてPauli限界を超える高いHc2や三重項超伝導など通常の超伝導とは異なる性質が報告されている。このような新奇な電子物性を微視的な観点から明らかにするためにNMRは重要なツールである。しかし、Pakeダブレットの問題等を克服するために中心C=C結合の片側のみを^<13>Cに置換することが望まれる。そこでこの同位体置換を可能にする新たなTMTSFの合成ルートを確立し、(TMTSF)_2X塩の超微細結合テンソルを決定した。このデータを用いて、(TMTSF)_2PF_6塩の低温SDW sub phaseにおける部分的な整合状態を明らかにし、また(TMTSF)_2PF_6塩の超伝導直上の非Fermi液体状態の原因が、SDW揺らぎが原因であること、そしてこの揺らぎが超伝導の発現に密接に関係していることを明らかにした。
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