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2009 年度 実績報告書

超低温強磁場環境下における1次元スピン磁性体の量子臨界現象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20540352
研究機関金沢大学

研究代表者

辻井 宏之  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (10392036)

キーワード磁性 / 物性実験 / 低温物性 / 量子スピン系 / 量子臨界現象
研究概要

超低温および強磁場中で使用する比熱計の開発と、強磁場における1次元量子スピン磁性体の磁気トルク測定を行った。超低温比熱計の開発では、超低温までの冷却を可能とする材料の選定や設計を終え、現在製作中である。また、強磁場用比熱計として、米国高磁場研究所の33Tマグネットで使用するヘリウム3冷凍機用比熱計を開発した。交換可能な比熱計プラットフォームとし、試料の大きさや磁場により受ける力に応じて熱リンクの最適化が容易になった。また、従来の比熱計に比べ、最低温度持続時間が長くなり、マシンタイム中の液体ヘリウムの追加の必要がなくなった。これにより、短い実験時間を有効に利用できるようになった。強磁場中の測定では、これまでの比熱測定に続いて、複合ハルデン鎖IPA-CuCl_3の磁気トルク測定を30mKの低温および18Tの高磁場まで行った。磁気トルクの磁場依存性において、磁場誘起反強磁性秩序の転移磁場は、磁場の2次微分のピークとして観測された。これにより臨界磁場は比熱から求めた低温への外挿と一致することが分かり、磁気相図はより低温まで拡張された。S=1/2を担うCoイオンが擬1次元鎖を形成しているIsing型反強磁性体BaCo_2V_2O 8では、零磁場において約5.4Kで反強磁性秩序を示すことが分かっている。さらに低温では、反強磁性秩序相から高磁場不整合秩序相への転移が観測されている。BaCo_2V_2O_8の磁気トルク測定を、20mKの低温および20Tの高磁場まで行った。臨界磁場では、一次転移を示唆する磁気トルクのヒステリシスが観測され、これまでに行われている磁気熱量効果や磁化測定の結果と一致した。角度を変えた測定から、1次元鎖の方向から傾くに従って臨界磁場が増加することが分かった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Fe Magnetic Impurity Effect in Au Atomic Sized Conductor2010

    • 著者名/発表者名
      K.Ienaga
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Conference Series 200

      ページ: 072042

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The dilute limit of heavy fermions : evidence of the coherent nature of CeAl_32009

    • 著者名/発表者名
      B.Andraka
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Condensed Matter 21

      ページ: 495601

    • 査読あり
  • [学会発表] S=1/2 Ising 型反強磁性鎖BaCo_2V_2O_8の低温磁気トルク2009

    • 著者名/発表者名
      辻井宏之
    • 学会等名
      日本物理学会 2009年秋季大会
    • 発表場所
      熊本大学(熊本県)
    • 年月日
      2009-09-26

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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