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2010 年度 実績報告書

超低温強磁場環境下における1次元スピン磁性体の量子臨界現象の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20540352
研究機関金沢大学

研究代表者

辻井 宏之  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (10392036)

キーワード磁性 / 物性実験 / 低温物性 / 量子スピン系 / 量子臨界現象
研究概要

本研究は、超低温および強磁場における1次元量子スピン鎖の性質を熱的な測定などから調べることで、量子1次元系の臨界現象を解明することを目的とした。今年度は3年間の研究計画の最終年度として、超低温比熱計で用いる測定系の整備と、強磁場における1次元量子スピン磁性体の磁気熱量効果や磁気トルクの測定を行った。比熱計の開発では、超低温における熱緩和時間測定のための交流ブリッジやヒーターなどの調整を行った。冷凍機のマシンタイムを待って比熱計のテストおよび測定を行う準備ができた。強磁場中の測定では、複合ハルデーン鎖IPA-CuCl_3のハルデーンギャップが消失する9.11Tの量子臨界点近傍で、緩和法比熱計を利用した熱測定を行った。比熱計に設置した試料を磁場中で急激に冷却し、最低温度付近まで冷えた段階で磁場を変化させた。この際に、臨界磁場の近傍で試料の温度に鋭いピークを観測した。ピークの高さは、試料を冷却したときの磁場、冷却前の温度、最終温度などに依存するが、ピークを積分して得られる発熱量から、量子臨界点近傍において水素の核スピンの急激な縦緩和により熱が発生していることが判明した。S=1/2を担うCoイオンが擬1次元鎖を形成しているIsing型反強磁性体BaCo_2V_20_8では、これまでに行った20Tまでの磁気トルク測定に続いて、比熱および磁気熱量効果の測定を行った。磁気トルクで観測された磁気相転移に相当する磁場において、磁気熱量効果に鋭いピークを観測し、磁気転移が明確になった。さらに、磁気トルク測定において磁場を35Tまで拡張することにより、20T付近で新しい磁気転移の可能性を示唆する異常が観測された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Specific Heat of the S=1/2 Two-Dimensional Shastry-Sutherland Antiferromagnet SrCu_2(BO_3)_2 in High Magnetic Fields2011

    • 著者名/発表者名
      H.Tsuju
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 80 ページ: 043707-1-043707-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Investigation of the heavy fermion state and superconductivity in Pr_(1-x)La_xOs_4Sb_12 by the upper critical field slope at T_c2010

    • 著者名/発表者名
      B.Andraka
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Condensed Matter

      巻: 22 ページ: 345701-1-345701-5

    • 査読あり
  • [学会発表] 反強磁性体の量子臨界点近傍での核スピンからの熱発生2011

    • 著者名/発表者名
      高野安正
    • 学会等名
      日本物理学会第66回年次大会
    • 発表場所
      新潟大学(新潟県)
    • 年月日
      2011-03-26

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公開日: 2012-07-19  

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