研究概要 |
鉄系超伝導体FeSe, LiFeAs, LaFeAsO_<1-x>F_x系の試料作製を行い高圧力下磁化測定を通して興の圧力変化を精密に調べた。FeSe系では興が1GPaで~11Kの極大を示し、更なる加圧で25Kまで上昇するという異常な2段上昇を示すことが明らかにされた。また、2段目の現上昇とともに超伝導の体積分率は著しく減少することがわかり、圧力中における第2の超伝導相の存在が示唆された。最近では5GPa以上の高圧域でT_cが30Kを超えるという高圧下電気抵抗測定の報告もあり、今後は高圧力域に焦点を絞りT_cの圧力依存を調べる。LiFeAs系においては5GPaまではT_cが単調に減少し、更なる加圧で現の下降が止まり一定となる振舞が見られた。FeAs系超伝導体では、AsのFe層からの高さで現が普遍的に決まることが最近指摘されている。LiFeAs系では5GPa以上でAs高さが一定となることが報告されており、今回得た興の変化に対応しているように見える。今後再現性を十分に確認しAs高さとT_cの関係を明らかにしたい。LaFeAsO_<1-x>F_x系については現が加圧により単調減少することが明らかになりつつある。一方、高圧下電気抵抗測定の結果からは2GPaで43Kの極大を示すとされており、今回の結果と矛盾している。この系ではT_cを電気抵抗の落ち始めの温度とするかゼロの温度とするかによってT_cの圧力依存の形は大きく異なる。43Kの極大は落ち始めを興とした場合であるが、抵抗ゼロをT_cとすれば、今回磁化測定から得たT_cの圧力依存と一致するのではと考えている。今後さらに純良な試料を用いてこの系のTcの圧力依存を確立する。
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