量子フォノンの分散の果たす役割を詳細に調べた。スピン系における長距離相互作用は系の熱力学的状態や動力学的特性に大きな影響を及ぼすごとが知られたいる。しかしながら、スピン間の相互作用の数がスピン数の二乗に比例して増加するため、何らかの近似なしに計算を実行することは困難であった。我々は一般の長距離相互作用系に対するオーダーNのモンテカルロアルゴリズムを開発した。この方法では相互作用のレンジ・系のサイズに依らず定数時間で個々のスピンのアップデートを行なうことができる。また、相互作用のカットオフ等の近似は一切用いておらず詳細釣合の条件を厳密に満たす。我々は、このオーダーNモンテカルロ法を用いて、イジング型パイロクロア酸化物であるDy2Ti2O7やHo2Ti2O7の数値計算を行った。この系は低温でマクロに縮退したスピンアイス的な振舞いを示すことが実験で報告されている。反強磁性的な交換相互作用よりも磁気双極子相互作用による最近接スピン間の強磁性的相互作用が支配的となっており、これがヌピンアイス的な振舞いの起源である。我々はオーダーNモンテカルロ法をWang・Landau拡張アンサンブル法と組み合わせることにより、低温のエントロピーや秩序変数を精度良く求め、極低温のおいてもエントロピーはマクロに残ったままであることを明らかにした。一方、スピンと格子の二つの異った自由度が組み合わさった長距離相互作用系であるスピンパイエルス系に対する効率的な量子モンテカルロアルゴリズム(ワープ・アルゴリズム)を開発し、三次元系における景子フナノンの分散の果たす役割を詳細に調べた。
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