| 研究概要 |
ナノ界面系において,原子間相互作用及び外部からの操作等によって現れる新奇な潤滑現象を中心に計算機シミュレーションの方法で調べた。まず,これまでの研究成果をふまえて,新奇な潤滑現象についてさらに詳細に調べた。この潤滑では,界面の相互作用及び構造の整合性にくわえて,界面原子の動的コヒーレントな集団運動が重要となりえるため,原子層-固体表面の界面等のようなナノ界面系での原子層等の潤滑の素過程及びダイナミクスを高精度・高速に数値シミュレーションすることが必要となる。そこで,シミュレーション設備について,ハードウェアとソフトウェアの両面からの補強・拡張を行い,計算・解析能力を向上させた。さらに,シミュレーションのためのプログラム開発・改良も併せて随時行った。そして,これらをもとに,新奇な潤滑として,方向性を持つ外力を必要しない潤滑及び超潤滑を主として詳細に調べた。ここで潤滑を発生させる方法としては,界面の原子層の原子間隔等に対して時間空間的変調を加える方法を主に考察した。この潤滑方法はナノスケールの機械の研究に関しても重要な意味を持っている。本研究では,並進運動に関するマシン動作を発生させる物理機構を明らかにすることができた。さらに,界面物性パラメータや力学的パラメータへの依存性に着目してシミュレーション解析して,潤滑に関する相図を導入することで,新奇な潤滑状態の発生条件と物理的特性のグローバルな理解が可能となった。また,関連の物理系における有方向性運動の物理機構及び特性についての知見も得ることができた。
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