研究概要 |
ペロフスカイト構造および関連する類似構造を持つ酸化物について、強誘電性でも超伝導性でも、同様な構造のところで転移点が高くなったり、構造相転移の類似の相境界近傍で、応用上の有用な特性が見つかったりする。それは、構造に特有のフォノンが特異な物性の発現に重要な役割を担っている証拠であり、相転移を起こす量子ゆらぎが鍵を握っているという観点から研究を遂行した。 [1] 強誘電性のペロフスカイト型酸化物混晶における相境界 強誘電体混晶でデバイスに有用なリラクサー特性を得るには、Cubicから転移したTet相とRhombo相の境界領域(モルフォトロピック相境界、MPB)を探索する必要がある。その出現条件をランダウ現象論と第一原理計算をドッキングさせる理論を作って導出した。これまで試みられた現象論では説明できなかった電場効果や圧力効果に関する最近の実験データを再現するのに成功し、国際会議(2010.8)で口頭発表、論文発表した。 [2] 量子ゆらぎによるエキゾティックな超伝導 酸化物高温超伝導体で既に成功した転移点Tcの同位体効果において、光学フォノンの役割を考慮した理論式をさらに拡張しフラーレン超伝導に応用した。その結果、1,2年前から急に実験の進んだC_<s3>C_<60>の高いTcや、A15型かfcc構造かの違いを含んで同一理論で説明することに成功した。国内の学会で発表し(2010.9)、本論文を2報の長編で投稿したところ査読者に称賛された。目下、印刷中である。
|