研究概要 |
我々はこれまで液体のガラス転移のモード結合理論を場の理論で書き直しそれの摂動展開を試みてきた。我々の方法は各オーダーで揺動散逸定理がなりたつ。1ループまで取る近似ではモード結合の標準理論の結果を再現することを確認した。この方法で高次の展開を実行することは困難でまだ未完成である。我々は別法として粒子間の引力のみを摂動とみなし、その他の非線形性については非摂動的に取扱うことを試みている。これまでに、この方法の1ループ過程を含む最低近似で標準のモード結合理論の結果を再現することを確認した。 第2種超伝導体における量子磁束の運動に関して次ぎの問題を考察した。印加電流をゼロに近ずけた時電気抵抗もゼロに近ずくか?この為に磁束の運動を記述するランジュバン方程式を立てそれを数値的に解くことを試みた。これまでにこの問題の定式化と予備的な数値解析がなされた。 これに関連した課題として電気抵抗の久保公式に渦糸などの局在した励起の熱的活性化過程の影響をとりいれる事を試みた。 この10年ほど構造ガラスとスピングラス間に密接な関係があることが認識されてきた。したがって構造ガラスの研究にスピングラスの知見が応用されて来ている。我々はPd_<1-x>Mn_x合金系のスピングラスモデルについて対称性の破れをとりいれたモンテカルロシミュレーションをおこなった。そして合金の濃度と温度の空間で相図を決定した。 一方構造ガラスで問題になる古典液体は多体系の問題の典型である。同じ多体系である原子核物理学とは手法の面で共通するところがある。ここでは量子系のハミルトニアンが無摂動部分と摂動部分に分離され,また全ヒルベルト空間が有限次元の模型空間とその補空間に分割されているとき,新しい関数演算子を導入することにより,模型空間において有用な性質を持つ有効相互作用を導いた.これらの理論的性質を,厳密解が得られる模型ハミルトニアンを用いた数値計算により確かめた。
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