研究概要 |
平成21年度の研究実績概要は以下の通りである。 Disorder-induced stabilization of cyclically competing species on regular graphs これは,リンクの重みに乱雑さを持つ正規グラフ上において競合する3種類のノード種がある場合の共存ダイナミクスを数値シミュレーションによって調べたものであり,本研究課題の研究実施計画に基づくものである。この研究によって,リンク重みの無秩序さを規定するパラメタがある値を超えるところで3種のノードの共存状態が安定化する鋭いクロスオーバーが見ら、れることがわかった。preliminaryな内容は9月の日本物理学会秋の分科会(熊本大学黒髪キャンパス)での講演において報告されており,現在さらに考察を重ねている。 次数相関を持つ複雑ネットワークの構造安定性について これは,本研究課題を遂行する中で生じた新たな研究課題である。現在の複雑ネットワーク理論は次数分布のみを用いた考察が主であり,現実のネットワークに存在する次数相関はほとんど考慮されてこなかった。この研究課題はそのギャップを埋めようとするものであり,複雑ネットワークの理論を大きく進展させる可能性を持っている。この研究により次数相関を持つ複雑ネットワークにおいても巨大連結成分等の重要な物理量を計算することが可能となった。現在,論文投稿の準備中である。
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