研究概要 |
(1)Src SH3の種々の残基置換体を用いて,どのような置換をすると,構造がαヘリックスの多いMG状態になるか検討する。(2)Fyn SH3とPI3K SH3のフォールディング過程をX線溶液散乱,円偏光二色性、蛍光ストップトフロー法で調べ,フォールディング初期にできる中間体の構造を明らかにし,その種による違いの原因を明らかにする。(3)PI3K SH3のpH2-3付近で存在するPMG状態をX線溶液散乱,円偏光二色性,NMRで調べ,その構造を明らかにする。他の2種類のSH3の場合に同様の構造が現割れる可能性について検討する。(4)特にPI3K SH3のアミロイド線維形成に至る中間過程を調べることにより,N状態とアミロイド線維形成の分岐がどのようにして起こるかを明らかにする。 以上の4点を目的として研究を進めた。 今年度は(1)中性領域では,他のSH3ファミリーと同様にβ構造を主に取るPI3K SH3の株を置塩博士から入手し,精製。X線溶液散乱の実験を行った。PI3K SH3は,pH3.5付近でアミロイド線維を形成すること,pH3以下でpre molten globule状態を取ることが知られている。X線溶液散乱の結果は,中性でもコンパクトな形をとっていないことが示唆された。
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