研究課題/領域番号 |
20540401
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
宮崎 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主幹研究員 (50354147)
|
研究分担者 |
大塚 教雄 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, NIMSポスドク研究員 (30465968)
|
キーワード | オーダーN法 / 第一原理計算 / DNA / 溶媒効果 / 密度汎関数法 / 構造最適化 |
研究概要 |
本研究では、我々が開発して来たオーダーN法第一原理計算手法を、水溶液中のDNA(数千から数万原子)の系に適用し、この系における水和構造、構造安定性などを明らかにすることを目標とする。研究の過程で、生体系に対する第一原理計算にもとづいた研究を行うために必要な理論手法を明らかにし、その手法開発も行う 本年度は、X線結晶解析の実験結果によって得られたDNAに水分子を加えた構造に対して、セルフコンシステントな一電子密度、密度行列、全エネルギー、そして原子に働く力を求めた。計算の際には、擬原子軌道による基底関数としては十分な精度を持つDZP基底によって局所軌道を表し、その係数を部分系に対して最適化を行うことによって効率的な計算を実現している。この手法によって水溶液中のDNA分子約3400原子の系に対して、セルフコンシステント計算が安定に行える事が分かった。また、上記の方法によって計算される力の精度は十分であることを確認し、古典力場による結果と比較を行った。その結果、第一原理計算の計算値と古典力場の計算値がほとんど同じ部位と系統的に異なる部位があることが分かった。一方、今回の方法では全エネルギーの計算値に対しては数値誤差が大きい可能性があることも分かり、次年度に改善する必要があることが分かった。 プログラム開発としては、DNAの構造安定性の議論のためには、局所軌道の重なりから生じる誤差を補正するプログラムを作成し、テスト計算を行った。また、密度行列最適化において計算をより安定に行う為の変更を行った。
|