不均質な地殻・マントルを伝わる周期1秒以下の短周期地震動を支配する、数km以下の短波長不均質構造を、観測データと数値シミュレーションを用いて定量化し、広帯域(周期10秒〜0.1秒以上)の強震動予測のための高分解能地下構造モデルを構築した。 具体的には、(1)高密度地震観測波形データ解析による短波長不均質分布の推定、(2)散乱理論に基づく短周期地震波伝播の理論的考察、(3)大規模並列シミュレーションと、観測波形データの比較による不均質モデルの評価、の3つの研究を進めた。 日本列島の地殻・マントル構造の不均質分布を詳細にモデル化し、検証のために、近年の内陸地震(2007年新潟県中越沖地震)や、海溝型プレート境界地震(1944年東南海地震)の広帯域強震動シミュレーションを実施し、強震動記録の再現性を確認した。今後、観測データとシミュレーションの検証を、西南日本と東北日本の地震に適用し、地域性を考慮した広帯域強震予測モデルの高精度化を進めることによりにより、精密機械工場などの短周期構造物から、超高層ビルなどの長周期構造物を含む、近代社会の多様な建築構造物を対象とした地震災害予測シミュレーションの実用化を目指す。
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