平成20年度については、これまでに取得された複数のデータセジトについて、解析結果をまとめることと、新たな解析を始めるための記録の整備を行った。さらに、新たな観測手段として提案している曳航型震源波形観測装置の開発のための準備を行った。 茨城県沖のプレート境界では、ほぼ決まって〜20年間隔でマグニチュード(M)の7級の地震が発生してきており、この震源域周辺で2004年に構造調査を行っていた。この調査記録には、プレート境界からの強い反射波が記録されており、それが沈み込む海山からのものであることを明らかにした。この海山はM7級繰り返し地震の震源域からずれていることを発見し、海山の沈み込み前部のプレート境界がアスペリティとなっていることを示した。このことより、M7級繰り返し地震と海山のような構造不均質との対応関係を解明し、論文にまとめた。 2002年に三陸沖巨大地震発生海域で行われた構造調査のデータについて、これの解析を進めるための準備を行った。大規模波形データのための記憶装置を整備するとともに、調査主幹機関である東北大学から波形データの提供を受けた。このデータについて編集および事前処理を行った。構造解析結果の精度を向上するためには、海底における受震点の位置塗精度良く決める必要がある。海底地震計設置位置の高精度決定手法について、本調査の記録を用いて開発を進めている。 新たに開発をする曳航型震源波形観測装置については、沈降力を発生するための翼について、その翼型に関する調査を進めた。本沈降装置の翼は、強度、重量、加工の容易性がら繊維強化プラスチック(FRP)を用いる。翼制作にあたり、FRPの種類や制作方法に関して調査等を行い、作製準備を進めた。
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