研究課題
本研究では人工震源を用いた海域構造調査において、海底地震計で記録された屈折・反射波の振幅について定量的な解析を行うために、人工震源とともに船尾より曳航して震源波形を記録するための観測装置の開発を進めている。当初は、曳航されたハイドロホンの観測記録を曳航ロープとともに這わせたケーブルを通して、船上にてリアルタイムにデータを収録する設計としていた。しかし、曳航ロープを太くすると、曳航時に水流との抵抗が大きくなることによって海面の方に浮上させる力が働き、観測装置を沈めることが難しいことがわかった。このために記録器も耐圧容器に納めることによって、オフラインによる波形記録を行うこととした。本年度はこのためのステンレス製耐圧容器、およびこれに収納できる波形記録器のプロトタイプを試作して、平成23年2月に行われた海域構造調査において実際にエアガン震源波形を記録する試験運用を行った。耐圧容器としては、海水による腐食に強く、エアガン曳航中においても船上に特別の装置を必要としないで投入・回収作業ができるよう、長さ40cm、直径12cm、空中重量20kgのステンレス製容器とした。記録器としては、小型であり低消費電力で動作する海底地震計の記録器を改良して、2つのアンプ・ゲインを設定しての波形記録ができ、耐圧容器にバッテリーとともに収納できるようにした。今回の試験的運用では、曳航中の震動によるノイズを低減する目的で、ハイドロホンを耐圧容器に取り付けて観測を行った。震源波形の記録に成功したが、さらなるノイズの低減が必要であることがわかった。
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Geophysical Research Letters
巻: 37 ページ: doi:10.1029/2010GL042935