研究概要 |
本研究は,コンドライトの主な構成要素である,コンドリュールが,どのような力学条件で微粒子集合体であるマトリックスに取り込まれうるかを明らかにするために,微粒子集合体に対しての弾丸貫入実験を行うものである 昨年度までに,衝突速度数10~200m/sでの実験を行うための微粒子加速手法を開発し,この衝突速度域での衝突実験を行った.そこで,今年度は,ブラウンシュバイク工科大学Blum研究室の自由落下による微小重力観測装置を用いて低速度での衝突実験を行った.弾丸は,直径1mmと4.7mmのガラス球で,落下筒の上部に糸でつるす.弾丸より下に微粒子集合体からなる標的を設置する.微粒子集合体は,中心直径が0.8μmのシリカ粒子を用いて準備したものであり,空隙率が55,75,90%である.弾丸を先に自由落下させ,そのあと標的を自由落下させることで,両者を低速度で衝突させた.衝突速度は,低速(0.1-0.2m/s)と高速(1-2m/s)とした.衝突時とその前後を,高速度ビデオカメラで1000コマ毎秒で撮像し観察した.その結果,弾丸は,空隙率90%の標的に低速で衝突させ場合のみ微粒子集合体に貫入し,それ以外の条件ではすべて跳ね返った.昨年度までの高速実験では,弾丸の微粒子集合体への貫入というよりもクレーター形成が卓越していたことと,今回の結果を考え合わせると,微粒子集合体への貫入条件は狭いパラメタ空間に限定されると考えられる
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